第3章『砂漠で・・・』
◆・・・・・・・・道に迷いました。どうしますか?
ザクッザクッ・・・・
あかりが見つめているのは自分の足元。
砂とそれを踏みしめて歩いている自分の
ピラテブーツだ。
「足・・蒸れ蒸れだわ・・・。
あー魔法使いさんみたいに
サンダルだったらなあ。
・・でも砂が暑いっちゃ暑いかな。
同じ砂でも
ビーチの砂なら・・気分も違うんだろうけど・・」
歩くたびに黒いブーツのつま先に白っぽい砂粒がのっかってはこぼれ落ちる。
足元ばかりではなく前方も見ればいいのだが、
「どうせ見たって
砂山ばっかよ・・」
そう。あかりは迷っていたのだ。
予定では3時間ほどで最短ルートで砂漠のど真中にある悪魔の城までいけるはずだった。
先ほど迷っていることに気づいたあかりは、ない脳みそをフル活用して進む方角を
「太陽の沈む方~」と決め、歩き出したばかりなのだ。
したがって顔をあげると・・・・・・眩しい。
ゆえにあかりは足元を見ながら進むしかなかった。
この暑さでは
歌う気も、立ち止まって
たばこを吸う気力もないらしい。
「この・・・・でっかい砂山に・・登りきれば・・
先がみわたせるだろうし・・ハァ・・ハァ・・・
悪魔の城がドーン!とあるとかさー・・
もしかしたら休憩できる
オアシスとかあるかもじゃん・・ハァ・・
物語っちゃー大体そぉんなもんよっ!」
砂山の急勾配にさしかかってきたあかりは
それきり無言になった・・・・・・
◆取った行動は、全くの無意味でした。どうしますか?
「こんな・・こったろうと思ったわよぉっ!!」
ドサッ!
そう叫ぶとあかりは腰から座りこんだ。
やっと登った砂山の頂上から見えたものは・・・・
見渡す限り
砂・
砂・
砂・・・・
遠くの方は砂で煙っていて空との境界線は見えない。
あかりはあぐらをかいて(スカートだが)座りこんだまま
ごそごそ・・と腰のバックから
たばこを取り出し、
ライターで火をつける。
「ふぅ~・・・・・
そうですかー。物語の主人公は苦労しなさいってこと、です、かー・・・」
ため息と共に吐いたたばこの白い煙が、乾いた風に流れていく。
しばらくの沈黙の後、あかりは吸い終わった
たばこを
砂にズブッと挿して火を消すと、大きく伸びをした。
「うぁぁぁぁ~~っっと。
さぁて、どーすっかねー。
せっかく
お天道様を信じてここまで登ったんだから・・方角はこのままとして。
登ったもんは降りなきゃ・・だよね」
最後のほうは自分に言い聞かせているようだ。
登った急勾配の先は・・・下りの急勾配なわけで。
ここまで登ってきたあかりの足は棒のようになりつつあり、
ふとももにいたっては
『あんたっ!
年考えなさいよっ!
明日とか明後日には
筋肉痛でパンパンになるわよっ!』
とでも言いそうだった。
その時。
ヒュウウウウウ~・・
さっきまでよりひときわ
強い風が拭いて、あかりの挿した吸殻を支えていてくれた
砂が崩れ、吸殻がコロコロコロッと転がっていった。
「おっっと!!!」
急いで捕まえると、腰のバックの空いてるポケットに放りこんだ。
「転がっていっちゃダメよー。っと・・
ん・・!?
そっかー・・・・こうやって下りりゃいいのよっ!」
どうやらなにかひらめいたらしい。
そう言うとあかりはおもむろに寝っ転がり・・・手を頭の上であわせると
「いーもーむーしーゴーロゴロッ!!」
そう叫ぶと
砂山を転がり落ちはじめた・・・・・・・・・・・
◆・・・・・・・・さらに無意味でした。しかし、そこへ神様が現れ、あなたを砂漠から脱出させ てくれました。お礼の言葉は?
ゴロゴロゴロゴロッ・・・・・・・・
あかりは砂にまみれながら・・転がっていく。
しかし数メートル下ったとこでその回転は止まってしまった。
急勾配で転がるかと思いきや、
体の重みで砂に埋もれていくらしい・・
「プハッ!!
ちょっとー!なんで止まるのよーっ!」
砂が入らないように息を止めていたあかりの顔はもちろん、
頭も体も
砂だらけだ。
「もおっ!!!!」
砂だらけのまま、再びあかりは座りこんだ。
もはや砂を払う気もないらしい。
「どーしろって言うのよ・・あたしは
主人公だ。っちゅーの・・
そうよ・・・・・
主・人・公・よ!
ここで飢え死んだらどーーにもなぁんないじゃない。
どーにかしなさいよおーーーーーーーー!!」
呟いていた声がだんだん大きくなり、最後のほうは誰かに叫んでいるようだ。
「倒しに行く設定でしょー?
悪魔のとこまで行かないとさーあ?」
疲れでイライラが段々と怒りに変わっきたようだ。
「よーい・・・・」
「そもそも。誰か
プリーストが先に行って
ドアあけてくれりゃーさー」
「もしもしー?」
「ちょ、うっさいわね。あたしはさー。
悪魔倒すのがメインなわけじゃーん」
「あの・・助けに・・」
「うっさいってば!・・・・・ハアッ!?」
背後からの声にあかりが振り向くとそこには・・・・・・・・
「じいちゃん誰・・・?????」
ひとりの
老人がそこには立っていたのである。
「えーっと神様なんぢゃけど・・」
(あたし頭おかしくなった?それとも幻??)
座ったまま、頭だけ後ろにまわし
フリーズ状態のあかりに
自称神様という
じいちゃん老人はおずおずときりだした。
「いや、あの・・さっき風が吹いたぢゃろお?
その時にワシ来たんぢゃけど・・。
何か困っとる感じぢゃったけえの?
じゃが、かっこいく出現しよう思うたら・・ほれ、この服の裾踏んでコケてしもうてよぉ。」
そう言うと老人は長い裾を持っていた
杖で指した。
「ようやく立ったと思うたら・・お前さんいつのまにか転がって行ってしもうとるし・・
ほいで急いで追いかけて来たのよ。」
(げ。見られて・・た?)
あかりは顔が熱くなるのを感じて、
老人から目をそらすように前を向いた。
「まーここは暑いのぉー!歩きにくいし。
ほいで、わしはどうしたらええんかの?
じょうちゃんはここじゃないとこに行きたいんじゃろ?」
「
・・・・ない・・・ 」
「ほ・・??」
「
・・・・じゃない・・・」
「いや、じょうちゃん、ワシ耳があんまり・・」
「
【じょうちゃん】じゃないーっ!」
あまりの声の大きさに老人はたじろいだのか、1歩後ろに下がり
ついでにまたコケそうになった。
「【じょうちゃん】じゃなくて【人妻】なのっ」
「はぁ・・・」
「
悪魔を倒しに行くとこなの!今は・・・・
休憩中!!」
「・・・んじゃあ・・とりあえず・・
悪魔の城に連れていけばええのかの・・?
さっき助けを呼んどったぢゃろ・・?」
「ぐっ・・・・ち、違うの!今は
休憩中でー。
あたしは・・
勇者だから自分で行かないと意味ないの!」
「むぅ。困ったのお。来たからには何かしてやりたいんじゃがー。」
「
・・・・教えてよ・・・ 」
「ほ・・?」
「
神様なんならー!悪魔の城までー!行けるー!近道をー!教えてよっ!」
さすが自称
神様。
老人は今度はあかりの大声にも微動だにしなかった。
そして白い立派な口ひげに隠れている口元がふっと微笑んだかと思うと
「お安いご用ぢゃ。」
ザクッ!
持っていた
杖を砂に差した・・・・・・・
まばたきした瞬間に回りの風景は一変していた。
あかりの視界にはもう
砂漠はなかった。
目の前にあるのは
岩山と・・1本の上り坂。
「ほれー、この坂を上っていけば
悪魔の城じゃ。
ちなみに後ろは今いた
砂漠ね。」
老人が
杖で指した方を振りかえると、180度
砂漠が広がっていた。
「ちょ・・!あたしは近道を教えろって・・・」
「その足じゃこの道もツライじゃろーのー。若くないんじゃしっ」
老人はあかりの声をさえぎって、楽しそうにそう言うと
トン!
地面を
杖で叩いた。
さっきまで鉛のように重かった足がふっ・・・・と軽くなった。
重さも痛みももうない。
「いや・・ちょ!じじい!なに勝手なこと・・・」
「じゃあのー。がんばれよ!
人妻に「
幸運」を!」
またまたあかりの声をさえぎって、満面の笑みを浮かべた老人は
トン!
再び
杖で地面を叩くとともに姿を消した・・・・・・・・
(なに・・あのじじい・・・)
あっけにとられたまま、あかりはしばしそこに立ち尽くしていた。
そして口をとがらせると
「
あり・・がとう・・ございましたぁ・・・・」
少しくやしそうにそう呟いた。
★あーーー・・やっと3章が終わった・・。
長いよっ!(2回目)
もうねえ・・脳みそがうに!(意味不明)
頭に浮かんだ情景をだらだら書いてるだけですんで、
設定につじつまあわないとこがあったらごめんなさいー。
指摘・・どーんとコイ!オリャ(/-o-)/ ┫w
神様は、最初は気の弱い亀仙人ぽいイメージだったんだけどw
なんか最後はダンブルドアみたいな・・・
脳内でいつのまにか変わってしまいましたb